ミキサーとは、荷台部分にミキシング・ドラムを備えた貨物自動車(トラック)のことである。回転可能な円筒形の容器に生コンクリートを収めて、走行中も撹拌しながら輸送することができる。
本車両は「バッチャープラント」や「生コン工場」と呼ばれる製造工場で作られた生コンクリート(フレッシュ・コンクリート、生コン)を建築や土木の工事現場へ輸送するために使われる。生コンクリートは輸送中でも適度な撹拌を行わないと骨材や水が分離し、均一でなくなってしまうので、容器をゆっくりと回転させて撹拌しながら輸送する。走行中に荷台上で可動する機構を搭載し、駆動軸をエンジン回転軸から分岐させるなどの特別な構造を持つため、特種用途自動車のいわゆる「8ナンバー車」である。
あらかじめ工場で生産されたコンクリート(レディーミクストコンクリート、略してレミコン)を撹拌しながら輸送するものを「アジテータ」という。ミキサー車はアジテータに比べ、容器を高速で回転させることができる。構造的にはどちらも大差なく、最近ではコンクリートの輸送が容易になったことや、現場内に製造設備を設置したりするようになったことから車両内でコンクリートを製造する需要が少なくなってきていることで、アジテータが普及しており、ミキサー車もアジテータとして使えるものが主流になった。そのため現在ではミキサー車とアジテータは厳密に区別されなくなってきているが、一般社会では「ミキサー車」、業界では「アジテータ」の呼称がよく使われるようになっている。